ホーム > インタビュー > バックナンバー Vol.01

Café de EAS 中村備生さん

当団体の活動にご協力・ご支援くださり、ご活躍されている素敵なゲストとの対談コーナー。
毎回素敵な方をご紹介していきます。

ヴァイオリニスト 中村備生 × EAS代表 斉藤砂絵

ヴァイオリニストとして活躍されている中村備生さん。
彼女はいつも自然体で思いやりに溢れ芯が強く誠実な女性です。
楽曲に対しても人に対しても、真摯に向かい合い内面美を感じる私の尊敬する演奏家の一人です。
今回はそんな中村備生さんにお話を伺いたいと思います。

コミュニケーションを大切にしたコンサートをめざして・・・

―先日のチャリティコンサートでは、楽曲の紹介だけではなく楽器のお話もあり大変好評でしたね。

そうですね、クラシックのコンサートは無言でステージに出てきて演奏だけして帰る流れが多いですが、私の場合、演奏家が何を感じ何を思って弾いているか、お客様がイメージしやすいように“対話”をしながらのコンサートを目指しているので、お話をしながら演奏をすることが多いです。

―対話とは具体的にどのようにされているのですか?

クイズを出すことがあります。例えば子供たちに「今弾いた作曲家の趣味はなんでしょう?」など3択で選ばせたりします。

―それは面白いですね。ところで、資料によれば先生は3歳からヴァイオリンを習い、幼少の頃に名門「桐朋子供の為の音楽教室」に通われ、最終的には桐朋学園をご卒業されました。正しく音楽家の王道を歩まれていらっしゃいますが、音楽一家でお育ちになられたのですか?

いいえ、私しか楽器をやっていないんですよ!でもヴァイオリンは3歳の時に自分から習いたいと言ってはじめました。幼い頃は、習わされている思いが強かったですが、だけれど今まで続けてこられたのは、この楽器と出会ったからではないかと思っています。

18世紀の名器との出会い

―その楽器とは今お持ちの楽器のことですか?

そうです、私が持っている楽器は1733年製で、実はストラディバリウスと並び評される名器なのです。
この楽器との出会いは『縁』だと思っています。 一目惚れだったのですが、こんな名器を手にするということと大変高価ですしやはり 最初は戸惑い、音楽仲間や恩師に相談しました。そうして一度は思い留まったものの 再び販売店を訪れ思い切って購入したんです。

―演奏家にとって楽器との出会いはとても大切ですよね。私は多少ヴァイオリンの経験があるので分かりますが、特にヴァイオリンは身体の一部というように納まり具合や響きの好みは勿論、楽器自体の美しさ、感触や弓との相性もありますし、納得できる楽器にめぐり逢うのはまさに‘縁 ’なのかもしれませんね。

そう、弓との相性と言えば、この楽器ともともと使っていた弓は最高の相性でした!
この弓が楽器を引き寄せたんだと思います。弓が楽器を呼ぶ、とでも言いましょうか。

―弓が楽器を?

そうです。今私が15年程前から愛用しているこの弓とこのヴァイオリンはとても相性がよく、何世紀も前からペアで使われていたのではないかと思うほどです。このヴァイオリンも何世紀も前から何人もの人に受け継がれ、今は私のもとにいます。
ヴァイオリンは弾けば弾くほど音色が良くなっていくものなんです。“ヴァイオリンは生きている!”と感じますね。だからこそ大切に弾いて、さらによい状態で次の人に受け継いでいきたいと思っています。

―中村先生のような演奏家に、名器から奏でられる楽曲は幸せですね、では今どんな作品に惹かれていますか?

個人的にクラシックはラヴェルなど、フランスものの小品曲が好きです。
仕事の場合は、クラシックに限らずミュージカルやポップスなどもあり、自分では選べないので、与えられたものを好きになることから始めます。
せっかく縁あって頂いたお仕事(曲)なので、楽しく取り組みたいですし、毎回コンサートでは自分自身にテーマをもち大切にこなしていきます。

―好きになるためにどのようなことをされるのですか?

まず、何か自分が共感できるところをみつけたりすることから始めますね。

―お弾きになるフランスものとは具体的にはどんな曲ですか?

一般的にはフランクのソナタが有名ですが、ド ビュッシーなどピアノの為に書かれた曲やフォーレなど歌の曲を好んで弾いています。
ヴァイオリンはもともと歌の楽器なので声楽曲を編曲したものも多く、それらはCMなどで皆さんが耳にしていることも多いのでコンサートでも好評です。

―ところで、コンサート活動が充実されているなか、なぜ今ボランティアへの取り組みを始められたのでしょうか?

そうですね、私はミッション系の女子高出身なのですが、高校2年の時に出会ったシスターの教えがボランティアを考えるきっかけとなりました。思春期の私をうまく嗜めて指導してくださったシスターで、当時シスターは、『何か悪いことをしたら必ず自分に返ってくる、いいことをしても必ず自分に返ってくる。人が見ていないところで何かをしなさい。(ミッション学校なので)神様は必ずあなたの行いを見てくださっています』とよくおっしゃっていました。
私の根底にはいつもこの言葉があります。自分がされて嬉しいことを人にしてあげる。それが基本だと思います。そうした行いは自分自身納得し、満たされた気持ちになります。

―同感です。ボランティアって、人の為に・・というイメージがありますが、やればやるほど自分の為だということを実感しますね。ボランティアに対する意識が自分の中でどんどん変わっていくのを日々感じます。それに、自分の出来ることを自分らしい形で行えばいいのだから、難しいことではありませんよね。

そうです、その当たり前の考えを皆が持ち浸透すればよい。だから、ボランティアはあまり大袈裟に考えなくていいと思っているんです。私の場合、音楽家として何が出来るかを考えます。私の出来ること、それは音楽を人に届けることです。
なかなかコンサートに行く機会がないという方、まずそういう方々に音楽を届けることができれば…と思いました。中には入院や施設に入っていて行きたくても行かれない方もいらっしゃいます。また、入院している方や施設で生活されている方は勿論、ご本人だけでなくご家族も不安や辛い思いを抱えていらっしゃるケースをよく耳にします。色々な方に音楽を届け、少しでも気持ちが楽になったなら、音楽家として幸せに思います。
そしてそのような活動をするために私はEASに参加しています。

Page 1 of 2