
斎藤:置屋さんとは?
小亜希:置屋さんというのは、言うたらプロダクションのようなもんで、舞妓さん芸妓さんが住んではるところどす。養成所のようなもの。ちなみに、お茶屋さんいうのがお客さんをおもてなしする場所。お茶屋さんはプロデューサー的な役割で、お座敷の予約が入れば、お料理と舞妓さん・芸妓さんの手配をして、舞妓・芸妓は置屋さんからお茶屋さんに寄せてもらうんどす。私の場合、夜のお座敷以外にも月1度は東京や京都以外のお仕事もあるし、その他京都市さんのお仕事でメキシコ、ロスにも寄せてもらいました。
舞妓さんは、基本的には中学を卒業してからでないとデビューできないです。で、舞妓さんには年齢制限があって20歳ぐらいまでしかできないんですよ。私は16歳で舞妓さんでて、21歳で芸妓になったんですけど。舞妓さん出るまでには最低1年の修業期間があり、だいたい舞妓さんでて、年季奉公が約5、6年あって、その間は置屋さんに住み込みなんですよ。で、22~23歳に自前っていうて独立してひとり暮らしするんですが、奉公中は月に1,2回しかお休みもなくて・・・やっぱり規制はありますね。それも修行の一つどす。
斎藤:着なれない私は着物を1日中着ただけで疲れてしまいます、体力がないと出来ないお仕事ですね。
小亜希:そうですね。着物もそうですが、特に舞妓さんは地毛なので一度結ったら一週間そのままなんです。従って枕も時代劇に出てくるような高枕だから大変。芸妓さんは島田の鬘で、自分の頭のサイズに合わせたオーダーメイド鬘を作ってもらってかぶるから自毛は好きなヘアスタイルにもできますから楽なんどすけど。
斎藤:そうでしたか、舞妓さんは一週間あの髪形だと日常生活も随分規制がありそうですね。どこかで聞いた話では、ジーンズやコンビニにも行ってはいけない、と言われるそうですが?
小亜希:舞妓は頭結うてますから、マクドナルドやコンビニはイメージ的にね、入らん方がいいかなと。舞妓は京都を代表する一つなので、本人の自覚にもよりますけど、私の時代は行ってはいけないと言われましたね。
斎藤:文化を守る立場にいると何かと制限がありますね。
では、ボランティアに対してはいかがでしょうか?これまでのお話を聞いていると、芸妓さんをしていながらの活動は普通の方以上に難しそうな気がしますが、どのようにボランティアをお考えですか?
小亜希:地元活性化のボランティアのようなものでご縁があり、舞妓さんの頃に、全国各地のデパートに京都物産展のような形でPRのお仕事で寄せてもらうことがよくありました。そのスケジュールの中に老人ホームの慰問もあり、京舞2曲ぐらい舞うたり、八橋など京都のお土産を配ったりするのですが、おじいさん、おばあさんが涙を流して感激してくれはって。毎年楽しみに待ってくれはる人がいると思うととても嬉しくて・・・そういうことから興味が出てきて、これからもなんかの形で携わっていけたらなぁ、と思うようになりましたね。
すぐにとはいきませんが、将来生まれ育った神戸の実家で犬や動物の老人ホームみたいなのを開設したいなぁと思っています。元々犬や動物が好きやから、前から薄らあったイメージなのですが。対人間にも、という思いは強いのですが今はその活動に焦点を置いています。
斎藤:私も老人ホームへは定期的にお手伝いに伺い、デイサービスで歌う他、例えば髪を結ったり、車いすを押したり、ホーム内に一日数時間だけ開店する喫茶店でコーヒーを出したり・・・と色々させて頂くのですが、私にしてみたら些細な日常のあれこれも、ご自分では難しい高齢者の方と一緒にするととても喜んでくださる姿にいつも感動します。私も同感で、ホームでの活動は自分の活かし方を考える大きな転機でしたし、そこで色々な事を教わります。そしてさらに身の回りのことを自分自身でできることへの感謝も改めて感じました。支え合っていることで満たされる気持ちになり、今でも楽しみにホームにお邪魔しています。
その他、私も犬を飼っていることがきっかけで某メーカーと一緒にドッグウェアを扱い、そのデザインを担当しています。売上の一部を犬の基金や盲導犬協会への寄付をする活動を進めていますので、小亜希さんの活動にはとても興味があります。
ところで、犬の老人ホームというのはまだあまり聞き慣れませんが、どのような経緯でその活動を始めようとお考えになったのですか?
小亜希:はい、以前に婦人誌で引退盲導犬ボランティアの活動をされている清水とき子さんの記事を目にしたのがきっかけです。それにとても触発されました。
斎藤:そうですか、小亜希さんのような方がこのような活動を始められると、興味を持たれる方も多いでしょうし、注目度も上がりますね。立ち上げの際には私も微力ながらお手伝いさせて頂けたら幸いです。