ホーム& > インタビュー > バックナンバー Vol.07

Café de EAS 中島章博さん

スターウォーズとワーグナーから遡る

中島:結局なぜオーケストラ、しかもクラシックの世界に入ってきたかというと、映画音楽とゲーム音楽だったといえます。
映画音楽もゲーム音楽もオケを元にして作られていることが多く、オケを元に作られているということは今までのクラシック音楽から得ているものを基にしているんですよ。
映画音楽はずっとオーケストラが鳴っていますよね。そのオーケストラがどこからきているかと言うと「ライトモティーフ」という各登場人物にひとつの主題を与えるワーグナーからきていて、ワーグナーが楽劇でやろうと思っていたことは、恐らくその時代に映画があったらワーグナーは映画音楽作曲家だろうし、ワーグナーがオペラで満足できず「楽劇」という違うものを作ったというのはつまりそういうことでしょう。ひとつのアリアが終わるごとに拍手が鳴り、曲が中断する従来のオペラじゃなく、ストーリーがあって、その楽劇の世界観があって、そこに伴奏として音楽を付けた。しかもその音楽が場面に合った「ライトモティーフ」つきで。お客さんが聞いているだけでその場面が分かるというのは正に映画音楽そのもの、というより映画音楽がワーグナーの手法を用いているだけですよ。
スターウォーズやETのテーマから映画音楽→オーケストラ→ワーグナーと入って行って、20世紀のオーケストラ音楽から19世紀、18世紀と逆に戻っていった。それが僕のクラシック、オーケストラです。
例えば、高校の時に面白いと思って聴いていたのはドッチャンガッチャンのオーケストラ。クラシックとして面白いんではなく、映画音楽に近くて情景が浮かぶ。マーラーの「巨人」(1番4楽章)やホルストの「惑星」(火星・木星)等はまるで映画のようで、巨人とウルトラマン等正義の戦いのようにイメージを描いて…。まぁ、ウルトラマンでなくナカチャンマンだったんですけどね…(笑)。
斎藤:確かに「巨人」や「惑星」などはドラマティックですものね。それにしてもその頃の私と対照的です…私は高校の頃マーラーも3番や5番シンフォニーの静かな4楽章などのみを聴いていました。賑やかになる1番の4楽章はCDをピッと止めてしまったりして…(笑)。
その頃の私は例えば湖面が朝の光で輝くような清々しい奇麗で穏やかな旋律を好んで聴き、ヴァイオリンの心に沁み入るような曲に癒され、音楽学校に入る為の稽古をしていましたね。ちょうどその頃、自分にとって音楽とは何だろうと考えた時期でもありましたが、中島さんはいかがですか?

なぜ音楽をするのか

中島:ただ好きなようにブラスバンドをやっている頃、高2の時だったかな、同級生に「中島ってなんでそんなに音楽をやっているの?」と言われ、今までそんなこと考えたこともなかったのですがその言葉がすごく衝撃で、それから「何のために自分は音楽をやっているんだろう」と考え始めるようになりましたね。
今の自分でいうならば「人に対して、楽しんでもらいたい」という自分の純粋な気持ちを伝える手段として相性がいいのが音楽だった、という感じですが、当時はなかなか答えを出せませんでしたね。
聴きに来てくれる方や、ボランティアで伺う病院の入院患者さんに元気になってもらいたいときに、喋るより自分の体で表現する方が伝えやすいという訳です。何かを感じてもらいたいし、病気や痛みや辛いことを一瞬でも忘れ、生きる喜びに繋がれば本当に嬉しいですね。
斎藤:そうですね。音楽にはそういう力がありますね。ところで、ボランティアのお話が出ましたが、どのような活動をされているのでしょうか?

音楽ボランティア

中島:今年も7月19日、草加市立病院で演奏しましたが、早稲田のOB中心の金管アンサンブル(20名ほど)です。その他、マレーシアのペナン島で日本人学校や盲学校を回り今年で3回目。クアラルンプールにも行きます。
斎藤:海外へも行かれるんですね。でもさすがに病院でマーラーやワーグナーはなさらないですよね?(笑)
中島:や結構これまたドッチャンガッチャンやっちゃう(笑)。クラシック以外も多かったですが、例えば今回メインは「展覧会の絵」のプロムナードと最後の方。
斎藤:るほど、病院だからといって静かな曲や童謡を聴くよりも、金管楽器の「展覧会の絵」は珍しく刺激を受けるでしょうね。そのような選曲には共感します。

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