
山内:それに、ちょうど2006年の5月1日から新会社設立法で資本金1円でも起業出来るようになり、それに合わせ私も5月に起業しました。起業してもいいよ!と言われているみたいで(笑)丁度よいタイミングだったと思います。
斎藤:そうですね、タイミングは大切。ただし、それを逃さず掴むのは日頃から物事を深く掘り下げて様々な角度から考えて、時代の流れに敏感でいるからこそ。チャンスとタイミングを活かせば本当に良い方向、結果に結びつきますよね。
ところで、社名がとても素敵ですが、どのような会社を作られたいと設立されたのですか?
山内:女性を応援する会社が作りたかったんです。それでエアーシンフォニーを設立しました。社名は「創造力とは、まるで空気のようなものです。それを奏でて音楽のように形にしていきたい」」という思いを込めてつけました。
斎藤:そうですか、なんとも女性らしい柔らかでクリーンなイメージ。山内さんの印象に直結するようなピッタリの社名だと思います。自分の会社や団体を持ってつくづく感じますが、社名はつけた後々会社の様々な事の判断していく社長にとって初心を思い出す材料の一つになる気がします。とても大切ですよね。
杉山:多様化する現代社会で若い女性社長として力を発揮することは大変な事だと思いますが、事業を継続される中で、その立場を意識される場面はありますか。
山内:そうですねぇ、実は日々生活して自分が“社長”であるという認識があまりないんですよ(笑)。仲間や手伝っていただく方々はいますが社員がいないからかな。決して一人でやっているわけではなく、何十人もの営業さんやデザイナーさんなど沢山の人に助けられ、支えられて会社が成り立っているな…と痛感しています。
大変なことを強いて挙げれば、時間にすべて追われていることですかね。一つ遅れると印刷が遅れ、発送が遅れといった具合にどんどん遅くなってしまう訳で、編集部ならではの大変さです。ですから時間感覚が敏感になり、研ぎ澄まされますね。時間がすごく大切になります。その他はスポンサーさんとの関係ですかね。
斎藤:企業との関係は大事ですね。それは私たちEASの今後の課題でもあります。
それに時間はいくらあっても足りないです。せめて1日30時間はあって欲しい!(笑)他には責任ある立場だからこそ発信する側は発言等にも影響力があり、いつも気を配っていますが、山内さんはいかがですか?
山内:そうなんです、“この言葉をのせることで社会にどう影響するのか”と思い悩むこともありますし、自分で処理しなければならないことも多い。ですから自分の時間や見つめる時間がないといけないと思い、普段は一人の時間をとても大切にしています。
杉山:相手が明確に見えない読者を対象に出版されるということが、あらゆる場面や人へ良くも悪くも影響を与える可能性があるということですね。抱えている責任の重さが違いますものね。もしも行き詰った時はどのように対処しているのですか?対処法や趣味などお聞かせください。
山内:映画が好きで、年間に200本程を見ます。基本はドキュメンタリーが好きですね。
杉山:200本とは凄い! 最近のお勧めはありますか?
山内:『ココシリ』です。チベットのココシリ自治区(自然保護地区)カモシカ生息地で戦う 狩りと密漁者のドキュメントなのですが、ドキュメントが元で政府が動きだし問題を対処したんです。国を動かすことができる映像の力って凄いな、って感動しました。それからプライベートは・・・最近早起きが好き!観葉植物を育て始めたのですが、朝になると一刻も早く観葉植物に光や水を与えてあげたいと思ってつい早く起きてしまうんです(笑)。
杉山:世間では出来る社長ほど早起き、と言いますよ(笑)選ぶ映画のマニアックさも日々の生活の中で感じる幸せも、何とも山内さんらしいです。ココシリも興味深い。映画や本を読み選ぶ中で大事にされていること等あれば教えてください。
山内:生活の中での創造力というものがとても大切な事だと思っています。
読売新聞社のデータによると、日本の30代の52パーセントが1カ月に1冊も本を読まない、2人に1人が活字を読まなくなっているのだそうです。
私は‘いじめ’の問題など今日の社会問題が起こるのも創造力の欠如だと思っています。これをしたらあの人が嫌がるとか、想像しないから叩いても痛みが分からず、生き返るとさえ思っている子供や大人が沢山いる。事故米も同様で給食に回れば子供が食べる、そんな簡単なことも想像すれば誰もが分かること。想像力を養うのは映像や読書の量だと思うので、一人でも多くの人に本を読んでもらうことを普及させたいですね。
斎藤:理解するには、目に入ってきた文字情報を頭の中で整理想像しますからね。芸術にも言えることと思いますが、心で感じ取り解釈・想像することが人を育てる上でとても重要だと思います。
山内:はい。本を読まないからお話が出来ない、コミュニケーション能力が欠如して自分の気持ちを伝えられず自分の中で閉じ込まってしまう。でも、本の中の世界は自分の世界と違い、また知識だけでなく、逃げ場の世界でもあり夢の世界でもあり…。
当人が実際にいじめに遭わないと分からない‘いじめられる側’の気持ちも本で知り、理解できます。人生に起こりうる全ての事を体験するのは無理ですが、少なくとも本の中にはその答えがいくつかある。経験者の文を読むことで疑似体験できるのも読書の良さではないでしょうか。
杉山:お話に大変共感します。ここで、今に至るまでの経緯を少しお聞かせいただけますか。
山内:そうですね、まず執筆者からの原稿を最初に目を通し触れられること、そして出来上がった時が嬉しいですね。また、これまで感動したのは読者から反応があった時です。
以前、『美楽』の特集の中でインタビューさせて頂いた医師に命を救ってもらったという方からお手紙を頂きました。お手紙をくださった方のお父様が死を覚悟していた時に、あるお医者様と出会ったことで命が救われ、その先生の執筆したものが読みたいと思ったとき『美楽』に辿り着き、『美楽』を好きになってバックナンバーを全て欲しいと言われた事があったんです。その時、やっていて本当によかったと思いました。
斎藤:起業前も色々な事業をされてこられたのですね。その中で現在出版業に力を入れられているのは、きっとお仕事の中に喜びを見出されているからだと思いますが、どんな時にモチベーションが上がりますか?
山内:はい。本を読まないからお話が出来ない、コミュニケーション能力が欠如して自分の気持ちを伝えられず自分の中で閉じ込まってしまう。でも、本の中の世界は自分の世界と違い、また知識だけでなく、逃げ場の世界でもあり夢の世界でもあり…。
当人が実際にいじめに遭わないと分からない‘いじめられる側’の気持ちも本で知り、理解できます。人生に起こりうる全ての事を体験するのは無理ですが、少なくとも本の中にはその答えがいくつかある。経験者の文を読むことで疑似体験できるのも読書の良さではないでしょうか。
杉山:素晴らしいお話ですね。人を助け、助けられながら仕事をこなしていらっしゃる。良い仕事というのは、頂いたお仕事をこなすことで結果人助けに繋がる、そんな連鎖反応が生むものなんですね。ところで、エアーシンフォニーは一企業としてEASのような団体と社会貢献をどう捉えていらっしゃいますか?
山内:はい、現在多くの企業はすでに社会に貢献を意識している訳ですが、さらにチャリティやボランティアというと、日本ではまだ慈善のイメージがとても強く、社会的に余裕がある人がするようなイメージを持ちがちですよね。でもEASの活動でも分かる通り、双方にとってのメリットがあり、社会の中で一緒になってやることで新しい形が見えてくるように感じています。実際団体を率いる斎藤さんは双方のメリットを一番に感じていらっしゃるのではないでしょうか?